難民とは、戦争や人権侵害などから自分の命を守るために
やむを得ず母国を追われ、逃げざるを得ない人たちのことです。

「難民」と聞くと、自分とは違うどこか遠い存在と感じるかも知れませんが、
実際はどうでしょうか?「難民」となる前は、私たちと同じように、仕事や
家があり、家族との日常があった人たちです。

難民になる理由はさまざまです。民主化活動に参加したことや、改宗した
こと、同性愛者など性的マイノリティであることなど。なかには、反政府
活動をしているグループと同じ地域に暮らしているだけで、「反政府的だ」
とみなされて迫害されるケースもあります。シリア紛争下でも実際に起き
ている事例です。

「難民」と「移民」の違いはどうでしょうか?
一つの考え方として、国境を越えて国外に移動し、一定期間または永続的
に暮らす人を移民とすると、難民もその中に含まれます。言葉や環境が異
なる移動先での経験は、両者に共通するでしょう。
大きな違いは、出国した理由です。移民の多くは、自らの希望や選択によ
って移動しています。一方、難民は自ら望むのではなく、命の危険などか
ら国外への移動を強いられます。

もちろん、難民にもそれぞれの思いや希望があります。厳しい状況と少な
い選択肢の中でも、家族とともに尊厳を持って自立して生きていくため、
子どもによりよい教育を受けさせるためにと、それらが実現できる国や地
域を目指すといった主体的な側面もあります。移民の中にも、人身取引な
どの人権侵害を受け、助けが必要な人もいます。両者は異なる点もありま
すが、その境界は常にあいまいといえるでしょう。